7/1~9日のアリゾナのホピ族を訪ねる旅の旅日記、その2です。
予定外のサプライズで、ズニの雨乞いの儀式を見せていただいた後、
いよいよホピの村へ。
ホピは、メサと呼ばれるテーブル状の台地に住んでいます。
メサは三つありますが、そのうちのセカンドメサにあるホピカルチャーセンターに二泊しました。
ここには、博物館、ホテル、レストラン、ショップがあり、
駐車場には、日替わりでホピのアートを販売する車が来ています。
ズニの村を後にして、ホピの居留地に到着したのは、夜9時頃。
車を降りて、宿の中庭に立つと、周りの空気がとても優しくて気持ち良い。
ずっと、ここでぼーっとしていたいと思いました。
この土地独自の優しさを感じます。
ここに来させていただけて良かったとホッとする気配。
安心と喜びに包まれて深く眠りました。
翌日は、旅の主催者彩さんのホピの友人達を訪問です。
昔ながらの生活を再現する家をセルフビルドで建設中のアキマさん。
普段からホピの伝統的なヘアスタイル。
耳の前までは、おかっぱで、後ろの髪は長く伸ばし、
束ねて折りたたみ、結んでいます。
テキスタイルデザイナーで、来日の経験もある男性です。
ここでは一般的な日干し煉瓦のアドピ建築の広い自宅。
アトリエには、描きかけの絵や、ホピ伝統の機織り機があり、
大型液晶テレビや洗濯機完備です。
コバルトブルーのトラックの荷台(!)に乗せてもらって、夢の建築現場へ。
石を積み上げ中。手作業なので大変!
だいぶ歩いた先に湧き水があり、お水はそこから運ぶそうです。
綿も栽培中。桃畑がありました。
池も掘っているところ、これから馬も飼いたいそうです。
こんな試みを実践している人は、他にはいそうにありません。
アキマさんは、伝統生活を取り戻す先駆者的存在なのかもしれません。
遊びに来た人は、もれなく建築のお手伝いをするらしいのですが、
私達は、石を一つずつ積むだけで勘弁してもらい、
またトラックに乗って、トウモロコシ畑を見学しに行きました。
畑の場所は、秘密なのだそうです。
栽培のできる水脈の通った土地は貴重なのでしょう。
雨が少なく、まだちびっこのトウモロコシが一本一本、
存在感たっぷりに植えられていました。
ホピにとっては、トウモロコシは聖なる作物。
とても大切に育てているのが、畑から感じられました。
サンクラン(太陽族)の長であるサンクランマザーのお宅訪問。
お宅の前は、村の中心のプラザ。
この建物の屋根では、鷲が飼われていました。
羽を儀式に使うそうで、雛の時から人間の子供と同じように、
大事に育てるそうです。
サンクランマザーのお話。
少し前に、親戚の女の子達の儀式があったそうです。
初潮を迎えた女の子達は、蝶々の形に髪を結い、
四日間電気もつけない部屋の中で、
伝統のパン作りなどの作業を教わるそうです。
そんなお話をうかがった後、お別れのハグをしたら、
なぜか親近感がどっと湧いて来て、
そのあとの立ち話が長くなりました。
グランマもご主人も、とてもとても暖かい方です。
ジュエリー作家のジェロさんの工房。
ジェロさんは、ホピジュエリーを代表する作家で、
世界各国に招かれたり、伝統の工法を伝える重鎮。
ポピショーでは講演もされていました。
奥様も娘さんもジュエリー作家です。
オーバーレイと呼ばれるポピジュエリー独特の工法で、
伝統的な意味のある文様が彫られています。
作家によって使用が許可されている文様があるようで、
チェーンを専門に作る奥様が使っている稲妻の模様は、
お祖父様から受け継いだとのこと。
デザイン性の高い、素敵なチェーンでした。
工房においてある設備を見ながら、
作品作りの工程を説明していただいきました。
作りたての素晴らしい作品を購入した方もいました。
ジェロさんの工房ではカードで購入ができました。
夕食は、ポピカルチャーセンターで働いているバレンシアさん宅で、
手作り料理をご馳走になりました。
このお宅は作家一家で、カチーナ人形や陶器を作っています。
メキシコ風のチリコンカーン、トルティーヤ、サラダ、ホピティー、
嬉しいスイカなどなど。
とても美味しい食事!
料理を作ったバレンシアさんに用事があったため、
お母さんのロアナさんがもてなしてくださいました。
ロアナさんは、外国人相手のガイドやワークショップの講師、
来日の経験もあり、サービス精神たっぷり。
陶芸の土は、何代にも渡り受け継がれているということや
パンを焼いたり儀式の準備でホピは本当に忙しいと
ユーモアたっぷりに語り、
食事の前には、ホピのお祈りもしてくださいました。
夕暮れ時には、メサの端の素敵な場所へ。
メサはテーブル状なので、
端まで行くと足元に山と谷が広がり、
心地よい風が吹き上げて来ます。
オレンジ色を帯びた光がその風景を照らし、
なんて美しい。
ここで各々好きな場所で過ごす時間は宝物でした。
ホテルに帰って、
夕食を作ってくれたバレンシアさんにもお会いできました。
若いけれど、揺るぎなさを感じさせるハンサムウーマンです。
みんなでお茶をしてから、髪を洗って、就寝。
この辺りの水は硬水で、ぬるぬるしていますが、
肌や髪にはとても良く、髪がしっとりとしてネイティブ風になってきました。
そして、ぐっすり眠れます。
翌朝は、瞑想にぴったりなメサの端を再訪。
瞑想したり、ボディーワークの鈴舞をしていたら、
あっという間に1時間が経っていて、朝ごはんの時間にぎりぎり。
天に開く良い時を持てたことに感謝です。
ホピカルチャーセンターにある博物館やお店は、
営業時間が決まっておらず、その日の担当者の都合次第。
のんびりしています。
レストランに食事に来たホピの皆さんも、
気軽に話しかけてくれます。
朝食後、いつもクローズの札のかかっていた博物館に、やっと入館できました。
ここには、〜族と言われて想像するような風俗が展示されています。
古い写真も見られて、歴史を感じました。
ホピの友人訪問、最後はアーヴィンさん宅。
お宅で少しお話しした後、
特別な場所に連れて行っていただきました。
鼻炎気味で不調なはずの私の鼻に
言いようのない妙なる香りが漂い、
懐かしい思いがして来ました。
乾燥した土に水を撒きたくて仕方がなくなり、
岩は金色の光を発しているように見えました。
その場所に立ってみるまではわかりませんが、
旅先では、こんな心惹かれる場所に出会うことがあります。
魂に触れるような場所。
私をここへ連れて来てくださったご縁に、心から感謝し、
聖なる白いとうもろこしの粉を撒いて祈りを捧げました。
アーヴィンさんを囲んで、ホピセンターでランチ。
儀式の時に食べられるという白とうもろこしとラムの煮込みや
ブルーコーンのパンケーキを使ったハンバーガーなどを皆で楽しみ、
去りがたいホピの地を後にしました。
ホピの居留地でも許可がない限り、写真禁止なので、
カメラは持ち歩きませんでした。
その分、頭の中の映像は鮮明です。
ホピで出会ったものの数々
スーパーで売っていた儀式の時に足につける鈴 デイビッドさんのメディスン
デイビットさんは、アリゾナ大学で教えたり、ポピの子供達に薬草の知識を伝承する活動をしているメディスンマンです。
ジェロさん作のペンダントトップ 若い女性アーティストから購入した作品
ポピの創るものは、お土産物としてではなく、アートとして扱われています。
伝統的な文様を施された作品は、洗練と深みを感じさせます。
ポピカルチャーセンターのパーキングは、誰でもお店を出して良いらしく、
アーティスト本人が、気の向いた時間にお店を出しています。
私は、30代の女性からホピの癒しの手を描いた陶片を購入。
模様の意味を一つ一つ説明してくれたのですが、聞き取りきれず憶えきれず。
でも、彼女の「タスクアリ」という声は耳に残っています。
自宅の玄関に飾りました。
旅はまだ続きます。またこの次に。