銀の鈴の屋上で暮らす、天空の女神たちと名付けられた蜜蜂の群。
養蜂家の後藤純子さんにお話を聞けば聞くほど、興味深いドラマチックな日々を送っています。
つい先日、分蜂がありました。
蜜がたくさん取れて、巣箱が手狭になると、蜜蜂たちは、新しい女王蜂を育てます。
新女王蜂が誕生すると、群れの半分は、お腹に蜂蜜をいっぱいれ、
今までの女王蜂と共に、空へ飛び立ちます。
養蜂家にとっては、群れと蜜が半減するのですから、避けたいこと。
分蜂する前に対策が間に合わないと、ドラマティック展開になってしまいます。
1万匹の群れだったとすると、半分の5千匹が一斉に飛び立ち、
空は一瞬、蜂だらけ!
15分もすると、適当な場所で手(脚?)をつなぎ合って固まり、
偵察部隊が、巣を作るのに適当な場所に誘導するまで待機します。
先日の朝、窓の外を見ると、
ビルに挟まれた道路の上の空間が、蜂だらけ。
滅多に見られない光景に、通勤の人も気がついて立ち止まります。
私はハラハラです。
15分ほどの乱舞の後、
待機場所に選ばれたのは、銀の鈴の真ん前の鈴懸の木のてっぺんでした。
知らせを受けた養蜂家の純子さんがやってきました。
蜂の塊は、ビルの4階あたりの高さの枝に。
養蜂家は、諦めません。
分蜂して待機している蜂は、簡単に捕まえることができるそうです。
ご近所から梯子を借り、
木登りしてブラシを使って、蜂を段ボールの箱に捕獲していきます。
蜂の入った段ボールを地面に下ろすと、
用意した巣箱に誘導します。
働き蜂達は、手頃な巣の様子を調べながら、ゆっくり中へ入っていきます。
観察していると、女王蜂が巣箱に入っていきました!
それからは、早い早い。
女王様がいるなら、この巣箱に決定ということらしく、
どんどん巣箱へ移動していきます。
よく見ると、お尻を上げて、目にも留まらぬ速さで羽を震わせている蜂が何匹もいます。
匂いを出して、道しるべとなっている蜂達です。
他の蜂は巣箱に入り、残っている案内役も中へ移動中。
みんなが巣箱に収まり、いよいよ最後の案内役の蜜蜂が、巣箱の中へ〜と思いきや、
飛び立って、巣箱の周りを飛んでいます。
純子さんによると、周りの地形を記憶しているそうです。
蜜蜂のダンスは、空間地図を記憶しているのです。
すごいなぁ。
蜂の物語。本で読んだり、ドキュメンタリーを観たりする機会は度々あるのですが、
本物を目の当たりにして、感じることは、本当に心に深く刻まれ、知恵となる気がします。
また、新しい物語をありがとう!
エネルギーの塊のような分蜂中の蜜蜂達。自然の大きなシステムに圧倒されます。